IT系の特許出願に強い「よつや国際特許事務所」

IT系の特許出願に強いよつや国際特許事務所

【対応地域】東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県

03-6908-8552

電話受付時間 : 平日9:00〜18:00 休業日:土日祝

メール対応は24時間受け付けております。

お問い合わせはこちら

ソフトウェア特許について

ソフトウェア特許を取得するには、ソフトウェアに関する発明(以下、ソフトウェア関連発明)が特許法上の「発明」に該当する必要があります。勿論、通常の特許の場合と同様に、新規性や進歩性など他の特許要件も当然クリアーする必要はあります。しかしながら、ソフトウェア関連発明に関しては、その前段階において、特許法上の「発明」に該当するか否かという点を考慮しなければいけません。
(ハードウェアに関する発明では、あまり特許法上の「発明」に該当するか否かを問題とすることはありません)

ソフトウェア関連発明が、特許法上の「発明」であるか否かは以下の観点から判断されます。

まず、以下の(1)又は(2)に該当する場合は、コンピュータソフトウェアという観点から検討するまでもなく、「発明」に該当します。

(1)機器等(例:炊飯器、洗濯機、エンジン、ハードディスク装置、化学反応装置)に対する制御又は制御に伴う処理を具体的に行うもの

(2)対象の物理的性質、化学的性質、生物学的性質、電気的性質等の技術的性質(例:エンジン回転数、圧延温度、生体の遺伝子配列と形質発現との関係、物質同士の物理的又は化学的な結合関係)に基づく情報処理を具体的に行うもの

(1)の事例としては、例えば、「自動車エンジン用燃料噴射量制御装置及び方法」の発明があります(過去の特許庁「審査基準」コンピュータソフトウェア関連発明)。
【請求項1】
 プログラムされたコンピュータによって自動車エンジンの燃料噴射量を制御する装置であって、
 エンジンの回転数を検出する第一の検出手段と、
 エンジンの回転数の変化を検出する第二の検出手段と、
 該第一の検出手段の検出値と該第二の検出手段の検出値とに応じて燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段とを備えたことを特徴とする自動車エンジン用燃料噴射量制御装置。
【請求項2】
 プログラムされたコンピュータによって自動車エンジンの燃料噴射量を制御する方法であって、
 エンジンの回転数を検出する工程、
 エンジンの回転数の変化を検出する工程、
 エンジンの回転数とエンジンの回転数の変化とに応じて燃料噴射量を決定する工程とを含むことを特徴とする自動車エンジン用燃料噴射量制御方法。

(2)の事例としては、例えば、「コンピュータによる画像処理方法」の発明があります(過去の特許庁「審査基準」コンピュータソフトウェア関連発明)。
【請求項1】
 光学的に読み取られる画像データの「ぼけ」を補正するための画像処理方法において、
 光学的読取手段により取得された画像データから得られる3行3列の画素行列Aを入力し、
 予め記憶された3行×3列のフィルタパラメータである下記の行列Bを用いて、
 C=A*Bを計算し、
 画素行列Cを出力するコンピュータによる画像処理方法。

このような場合には、ソフトウェア関連発明の特有の判断を必要とせず、「発明」に該当すると判断します。

次に、上記(1)及び(2)のいずれにも該当しない場合、はじめてコンピュータソフトウェアという観点から検討します。
それは、「ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されているか否か」という観点からの判断です。「ソフトウェアによる情報処理が、ハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合」には、当該ソフトウェア関連発明は、特許法上の「発明」に該当します。
「ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている」とは、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することによって、使用目的に応じた特有の情報処理装置又はその動作方法が構築されていることをいいます。

以下、具体例で説明していきます。
例えば、「ゲーム方法」の発明があります(特許庁「特許・実用新案審査基準」の特定技術分野への適用例)
【請求項1】
 複数のプレイヤが複数のプレイエリアに分かれてプレイするゲームを進行させる方法であって、
 前記複数のプレイヤのそれぞれに前記複数のプレイエリアのいずれかを選択させる選択ステップと、
 前記複数のプレイヤからの指示に応じて、当該複数のプレイヤのそれぞれが選択したプレイエリア上でゲームを進行させる進行ステップと、
 前記複数のプレイヤのそれぞれが選択したプレイエリアのゲームに、当該プレイエリアとは異なる他のプレイエリアを選択した他のプレイヤによるゲームの進行状況を反映させる反映ステップと、
を有することを特徴とするゲーム方法。
【請求項2】
 複数のプレイヤが複数のプレイエリアに分かれてプレイするゲームを進行させるコンピュータ上で実現されるゲーム方法であって、
 前記複数のプレイヤのそれぞれに前記複数のプレイエリアのいずれかを選択させる選択ステップと、
 前記複数のプレイヤからの指示に応じて、当該複数のプレイヤのそれぞれが選択したプレイエリア上でゲームを進行させる進行ステップと、
 前記複数のプレイヤのそれぞれが選択したプレイエリアのゲームに、当該プレイエリアとは異なる他のプレイエリアを選択した他のプレイヤによるゲームの進行状況を反映させる反映ステップと、
を有することを特徴とするゲーム方法。
【請求項3】
 1つのゲーム空間を構成する複数のプレイエリアのそれぞれについて、各プレイエリアにおけるゲームの進行状況を管理する個別プレイエリアテーブル、当該ゲーム空間における各プレイエリアの配置情報、及びプレイヤに選択されたプレイエリアに関連付けて当該プレイヤを識別する識別情報を記憶する記憶部を備え、
 複数のプレイヤが前記複数のプレイエリアに分かれて同時にプレイするゲームを進行させるコンピュータの制御方法であって、前記コンピュータが、
 前記複数のプレイヤのそれぞれに前記複数のプレイエリアのいずれかを選択させる選択ステップと、
 各プレイヤの前記識別情報及び当該各プレイヤからの指示に基づき、当該各プレイヤのそれぞれが選択したプレイエリア上でゲームを進行させ、前記個別プレイエリアテーブルを更新する進行ステップと、
 前記個別プレイエリアテーブル及び前記配置情報を参照することにより、前記複数のプレイヤのそれぞれが選択したプレイエリアの表示に、選択した当該プレイエリアとは異なる他のプレイエリアの他のプレイヤによるゲームの進行状況を、当該プレイエリアと当該プレイエリアとは異なる他のプレイエリアとの配置関係に基づいて反映させる反映ステップと、
を実行することを特徴とするコンピュータの制御方法。

 特許庁は、請求項1及び請求項2は、「発明」に該当せず、請求項3は、「発明」に該当すると言っています。
 その理由として、請求項1に関しては、『請求項1には、プレイエリアの選択、プレイエリア上でのゲームの進行及び他のプレイヤによるゲームの進行状況の反映といった処理ステップが記載されているが、それぞれの処理ステップはゲームの手順を定めたものであって自然法則を利用したものではなく、請求項1の記載全体としてみれば人為的な取決めにすぎない。したがって、請求項1に係る発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではないから「発明」に該当しない。』と言っています。
 また、請求項2に関しては、『請求項2には、コンピュータを用いることが特定されているものの、プレイエリアの選択、プレイエリア上でのゲームの進行及び他のプレイヤによるゲームの進行状況の反映といった一連の手順を実現するために、コンピュータがいかなる手段を採用するかが具体的に特定されていないため、ソフトウェアとハードウェア資源が協働して他のプレイヤによるゲームの進行状況を反映させるゲーム方法を実現しているとはいえず、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されていない。したがって、請求項2に係る発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではないから「発明」に該当しない。』と言っています。
 一方、請求項3に関しては、『請求項3に係る発明は、コンピュータが、各プレイエリアにおけるゲームの進行状況を管理する個別プレイエリアテーブル、当該ゲーム空間における各プレイエリアの配置情報、及びプレイヤに選択されたプレイエリアに関連付けて当該プレイヤを識別する識別情報を記憶する記憶部を備え、各プレイヤの前記識別情報及び当該各プレイヤからの指示に基づき、当該各プレイヤのそれぞれが選択したプレイエリア上でゲームを進行させ、前記個別プレイエリアテーブルを更新し、前記個別プレイエリアテーブル及び前記配置情報を参照することにより、前記複数のプレイヤのそれぞれが選択したプレイエリアの表示に、選択した当該プレイエリアとは異なる他のプレイエリアの他のプレイヤによるゲームの進行状況を、当該プレイエリアと当該プレイエリアとは異なる他のプレイエリアとの配置関係に基づいて反映させるという、ソフトウェアとハードウェア資源が協働した具体的手段によるものであるから、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されているといえる。したがって、請求項3に係る発明は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるから、「発明」に該当する。』と言っています。

上記「ゲーム方法」の発明の例から、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されるには、請求項3レベルの記載が必要になることがわかります。請求項2レベルでは「コンピュータ」が用いられるということはわかりますが、具体的にどのようにハードウェアを用いて処理をするのかが記載されていないと判断されています。

まとめると、ソフトウェア関連発明が、特許法上の「発明」であるか否かの判断方法は、以下のようなフローになります。

このようにソフトウェア関連発明が特許法上の「発明」に該当するように判断してもらうためには、ソフトウェア関連発明に適した特有の記載方法が必要です。勿論、特許請求の範囲の記載に気を使うだけでなく、実施の形態にも、ハードウェアの構成図、ソフトウェアの処理フローなど、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより、本願発明の特有な機能が実現されていることを記載することが必要です。当所弁理士は、長い間このようなソフトウェア関連発明の案件を取り扱ってきました。ソフトウェア関連発明のアイデアをお持ちの方は一度相談に訪れてください。最適なアドバイスをさせていただきます。

Return Top