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シンプルな特許

シンプルな特許(最近の事例から)

先日(2021年5月20日)、ユニクロのセルフレジを巡る裁判で、株式会社アスタリスク(大阪市)が有する特許が有効であるとの判決が下されました。アスタリスクの特許は、桶状に形成されたシールドで外部への電波放射を低減させる箱のような据え置き装置であり、その中に商品を入れるだけで蓋をすることなく商品に付されたRFタグを正確に読み取ることができるというものです。従来における、筐体内に商品を入れてフタを閉めないと正確にRFタグを読み取れないという問題を解決した発明です。具体的には、以下のような特許です。

特許第6969758号

【請求項1】(特許になった請求項)
 物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
 前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
 前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
を備え、
 前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。

実にシンプルな特許です。正直、この内容でよく特許になったなという感じがします。ユニクロのセルフレジも同様にフタを閉じない構成をしており、窪みに商品を置き、RFタグを読み取るようになっています。

ちなみにこの特許の出願時の請求項1は、以下のような内容でした。
【請求項1】
 物品に付されたRFタグから情報を読み取る読取装置であって、
 前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
 前記アンテナを収容し、前記物品よりも広い開口が形成されたシールド部と、
を備え、
 前記シールド部が開口した状態で前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする読
取装置。

経緯としては、まず、審査において下記の文献(特開2015-207119号公報、特開2008-84058号公報)を挙げて進歩性がないという拒絶理由通知が発行されています。文献の概要図を下記に示します。簡単に言うと、文献1(特開2015-207119号公報)には、開閉フタで閉じた状態でRFタグから情報を読み取る読取装置が記載されており、文献2(特開2008-84058号公報)には、上方及び前方の面が開放されたシールド部が開口した状態でRFタグを読み取る構成が記載されているので、引用文献1の読取装置の筐体に引用文献2の構成を適用すれば、請求項1に係る発明は、当業者が容易に想到し得るというものです。

文献1(特開2015-207119号公報)

文献2(特開2008-84058号公報)

これに対して出願人である株式会社アスタリスクは、上述した下線部の補正、つまり「本願発明の読取装置は、物品を囲み、当該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部を備え、当該シールド部が上向きに開口した状態でRFタグから情報を読み取る」構成に補正することにより、進歩性があることを主張して、特許査定を頂きました。

このように一見、シンプルで特許になりそうにない案件でも、場合によっては特許権が成立する場合があります。そして、シンプルな特許ほど登録されると非常に強い特許になります。一見、簡単に思われるが今までに見たことがないというアイデアをお持ちの方、一度相談に訪れてください。最適なアドバイスをさせていただきます。

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