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AIと弁理士業

今回は昨今の状況を踏まえ、今後の弁理士業について自分の考えを少し述べてみようと思います。はっきりとこれという明確なものではないのですが、何となく最近日々感じていることです。きっかけは先日(令和5年5月8日付)の日経朝刊の下記の記事です。

グレーゾーン解消制度 違法懸念消えAI利用加速

大量のデータ分析を得意とするAIを活用したサービスは、特許調査などでも強みを発揮する。商標分野ではcotoboxやToreruが「知財AIサービス」として知名度を高めているが、特許書類の作成支援サービスではAIサムライ(東京・千代田)が存在感を増している。
同社の「AI特許作成」というサービスでは、ユーザーが技術の情報や類似する特許の情報など発明の基礎情報を入力すると、AIが内容を分析し、過去の関連特許などを参考に特許書類のドラフトを自動的に作成する。
従来は商標や特許の出願をする場合、権利者本人が行うか弁理士に代理を頼むのが原則だった。弁理士法は、弁理士以外の者が他人の求めに応じ報酬を得て特許出願書類や商標出願書類などを作成することを禁じている。知財AIサービスが登場した当初は、AIを使った関連書類の作成支援が同法に違反するのではないかとの懸念があった。
懸念を解消したのは、規制適用の有無を所管省庁に確認できる政府の「グレーゾーン解消制度」だ。2018年にcotoboxが照会をかけ、経済産業省からの回答で「利用は適法」と確認した。
22年にはAIサムライも、AIを使った特許書類作成サービスの適法性を確認。「一定の条件を満たせば法律に違反しない」との回答を得た。
知財AIの利用が広がり、弁理士の業務は変革を求められている。いかにうまくAIを活用し、プラスアルファの価値を見いだすかが次世代の弁理士に必要な要素になってきている。
(下線は筆者)

たぶん今後、AIツールを利用して特許出願書類(特許明細書)を作成するのは当たり前になるのでしょう。
野村総合研究所が2015年に発表した英オックスフォード大との共同研究「AIやロボットによる代替可能性の高い職業」の調査においても、弁理士の代替可能性92.1%となっています。早晩、弁理士も冬の時代が到来することは避けられない気がします。

そのような状況になった場合、弁理士に求められるのはどのような能力なのでしょうか?
以下は、特許出願書類(特許明細書)の作成業務に限定した私の意見です。

対人スキル

野村総合研究所&オックスフォード大の調査では、他の士業の代替可能性に関する数字も発表されています。例えば、行政書士は93.1%、税理士は92.5%、公認会計士は79.7%、社会保険労務士は79.7%、司法書士は78%となっています。一方、弁護士は1.4%、中小企業診断士は0.2%です。この違いは何に起因するのか?
私見ですが、定型的な書類作成業務の割合、人対人を基本とするコンサルティング業務の割合なのではないしょうか?
私は、特許出願書類の作成は、必ずしも定型的な書類作成業務とは思いませんが、AIツールを利用すれば省力化できることは否定しません。しかしながら、発明の把握といった観点からすれば、クライアントが用意した発明資料がすべてではありません。当方では、必ず対面での打ち合わせをさせていただいています。これは、発明者の考えを余すことなく引き出す(本人が認識していないことも含めて)、発明のあらゆるバリエーションの可能性を追求する、そして発明の骨子を把握するには、双方向のコミュニケーションが必須であり、五感がフル活用できる対面の打ち合わせ以外にはないと私は考えているからです。
当事務所の場合、特に中小企業やベンチャー企業などの案件では、発明資料がないことも日常茶飯事です。打ち合わせの内容だけでまとめなければならないことも多々あります。今後は対人スキルの能力がますます必要になってくるのではないでしょうか。

AIツールの扱いに関するスキル

生成AIを業務に活用する場合、的確な指示を与えないと望んだ成果物は得られません。そのため、的確な指示を出し望んだ成果物を引き出す「プロンプトエンジニアリング」というスキルが重要になってきます。これを特許出願書類(特許明細書)の作成業務についていうと、発明の内容についてコンピュータにどのような指示を与えるかということになります。これは、特許出願書類の作成の省力化という工程に関連してきます。つまり、指示の仕方が適切ならば、よりよい成果物である特許明細書が出力され、修正や追加などのチェック作業は少なくて済みますが、そうでない場合には、出力された特許明細書に対して大幅な修正、削除、加筆が必要になってきます。
今後、明細書作成業務を主とする弁理士は、プロンプトエンジニアリングのスキルも必要になってくると思います。

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